『…ダメだよ。家の人が心配するよ…。』

『今日は家に泊めるけど…ちゃんと帰るんだよ。』

―これは私が十代の頃。

酒を飲んで、外をふらついてた時に言われた言葉。

意外と…優しい人が多かった。

もちろん、こわい事もそれなりにあった。

でも、その時期は “むしろそれを望んでた”。

《どうせ堕ちるとこまで堕ちるんだ…》と。

周りの同級生は皆、学校に行っている。

平日の昼間――

繁華街を一人でふらふらする。

公園のベンチに座りながら、缶チューハイやウイスキー、よく分からないアルコール度数の高い酒…

とにかく、酔えれば良かった。

《あとどんだけ人生あんだよ…まだ17……。》

軽く絶望を感じながら、飲んでいた。

その時のこと…けっこう覚えてる。

意外と、意外と。

ちゃんとした大人も多かった。

声をかけてくる10人中2人ぐらいは。

夜になっても、行き場がない。

また違う場所へ移動する。人気のない広い公園。

『…なにしてるの?危ないよ』

40代ぐらいのサラリーマン。

《また “あの” 誘いでしょ…》

そう思っていると。

『…ウチにもね。君と同じぐらいの年の子供が居るの。…お家の人、心配するよ?』

ビックリした。

私は、ペラペラと口答えする。

「誰にも心配されないから、ここに居んの。」

驚いた顔で『…ホテル代。あげるから。明日、ちゃんと帰りなさい。何か買って食べなさい…』

…悲しそうな顔をして、お金をくれて去って行った。

《なんだ…?》

そう思いながら、握らされたお金を眺めていた。

他にも。また夜にふらついてると…

『危ないよ!夜だよ?何してんの(笑)』

チャラそうなおじさん。

「…帰りたくない。放っといて」

偉そうに答えた。

『あんた…(笑)わかった。泊めてあげるから。』

《…はぁ。どうせ………まぁ、いっか…。》

そう思って着いていった。

お菓子をたくさん買ってくれた。

知り合いだという若い女性を2人、呼んでくれた。

【あんた!どこで見つけたの!コイツに変なことされたら、私にすぐ連絡してね!】

そう優しく言って、電話番号を教えてくれた。

もちろん、何もされなかった。

あんなチャラそうなおじさんだったのに…

『人生…色々あるんだよ!(笑)まだまだ…あなたは若いんだから…ねっ』と。

次の日もご飯を買ってきてくれた。

『オレ仕事行くけど、鍵。自由に出入りしていいから。』

そう言って、朝早く出勤。

いたたまれなくなり

“帰ります。ありがとうございました。” と

メモを残して、その家を出た。

すごく楽しかった。

いま思い出しても、幻のよう。

私は黙って、そこに居るだけ。挨拶すらしない。

なのに…――。

その後もすぐには “ちゃんと” 出来なかったけど。

あのとき、人の温もりを初めて感じられたから。

大きく踏み外さず、生きてこれたと思ってる。

本当に…

この世に優しい人は、ちゃんと居る……。

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